畑に咲く春の花

#ヨーロッパ #暮らし #安田和代

2024/05/15439 Views

writer:安田 和代(やすだ かずよ)
ロンドン在住の日本人編集者/ライター。昼は本を編み、夜は毛糸を編み、週末は畑で有機野菜を育てる日々。読書、写真、畑しごと、発酵食品&保存食づくり、編みもの、ポッドキャスト「試運転(仮)」、通信制大学で食物学の勉強など、あっちもこっちも。

4月に入って寒さが緩むと、あらゆる場所に新しい色が加わります。
畑に咲く春の花が、きたるべき夏への期待を運んできます。

黄色い花の意味するところ

「来年こそは、冬の間にきっちり準備をするのだ」という、決意とも後悔ともつかぬ気持ちに襲われる季節がやってきました。
春への準備をちゃんとしていようと、はたまたサボっていようと(わたしの場合は常に後者)、季節は容赦なくやってきて、畑のいたるところで花は咲き始めます。

春の花のなかでもっとも多い色が黄色、というのを最近クイズ番組で見ましたが、わたしの畑でも「望まざる」黄色が真っ盛りです。
「望まざる」と書いたのは、わたしが意図して咲かせた花ではないから。

ひとつは雑草。
タンポポは黄色い可憐な花の後、まあるいポワポワした種をまき散らし、それぞれがしっかりと深―い根を下ろし、可憐な花、まあるいポワポワ、種まき散らし、深―い根、という無限ループをたどります。

これを断ち切るには、花を咲かせないこと、なので、花を見つけるとブチッと引きちぎるようにしていますが、なかなかどうして、向こうのスピードに追いつかないのです。
根こそぎ抜こうにも、20センチ以上ある根っこは相当な強者。
さすがゴボウの仲間だけあります。

もうひとつの黄色は、アブラナ科野菜の薹立ち(とうだち)です。
一般的には「とうが立つ」というと「旬が過ぎる/年頃を過ぎる」という意味で使うことが多いかもしれません。
もともとは、(収穫時期を逃し)野菜の「薹(とう=花茎)」が硬く伸びて花が咲いてしまうことに由来しているのでしょう。
英語では「bolting(ボルティング)」といいます。

菜種の仲間、アブラナ科の野菜は、キャベツもケールも芽キャベツも、放置していると、みな同じように黄色い菜の花を咲かせます。
これまた、冬の間の片付けを怠り、放置していたが故の、恩恵というか報いというか。
せっかくなので、花を摘んで、花瓶に飾っています。

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嬉しい花

望まざる黄色い花が勢力を拡大するなかで、嬉しい花も拮抗しています。

ライラックの紫の花は、香りが強く、細めの枝を選んで切り花として部屋に飾っています。
花持ちはそこまでよくありませんが、数日間はまわりによい香りを振りまいてくれます。

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そら豆の繊細な白い花は、このひとつひとつが鞘になることを考えるとワクワクします。
それだけに、キツネが歩いたあとと思われる折れた茎を見つけると、ものすごくガッカリしてしまうのですが。

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なによりも、今年楽しみなのは、2本のリンゴの木です。
多くのリンゴは、不毛の年と豊作の年を交互に繰り返す、といわれています。
わたしの畑にある2本のリンゴの木も例外ではなく、一昨年は豊作、昨年は不毛、そして今年はまた、ものすごい花盛りです。

ほんとうは、冬の間にもっとハードに剪定するべきなのでしょうが、なかなか思い切りがつかないのと、わたしの怠け癖のせいで、うちのリンゴの木はかなりワイルドに伸び放題になっています。
たぶん、ひとつひとつの実は小さいと思いますが、今年は豊作になる予感があります。

願わくば、2本あるリンゴの木が、交互に豊作の年を迎えてくれたら理想なのですが、そうそう人の思い通りにならないのが、自然です。
2本揃って、一度にどっさりと実をつけるので、リンゴバターやチャツネにするか、アップルパイか、はたまたジュースにするか……。
皮算用はいまから始まっているのです。

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