英国人がこよなく愛するルバーブのお話

#ガーデニング #ヨーロッパ #暮らし #安田和代

2023/05/24473 Views

writer:安田 和代(やすだ かずよ)
ロンドン在住の日本人編集者/ライター。昼は本を編み、夜は毛糸を編み、週末は畑で有機野菜を育てる日々。読書、写真、畑しごと、発酵食品&保存食づくり、編みもの、ポッドキャスト「試運転(仮)」、通信制大学で食物学の勉強など、あっちもこっちも。

春から夏にかけて英国のデザートに欠かせないのがルバーブ。
今回は、日本ではあまり知られていないこの英国の「おふくろの味」についてご紹介します。

英国北部のルバーブトライアングルとは

春から夏にかけては、大きな葉っぱと赤い茎が印象的な野菜ルバーブの収穫期です。
フキに似たこの野菜、毒性のある葉の部分を切り落とし、茎の部分のみ甘く調理してデザートやジャムにするのが定番です。
育てるのが簡単なため、家庭の庭や菜園でも古くから広く栽培されています。
一度植えると、冬には枯れますが春になると新しい芽が同じ場所から出てきて、毎年楽しむことができます。

市場にでまわっているものは、なんといっても英国北部ヨークシャーのものが有名。
この地域には「ルバーブトライアングル」という三角地帯があり、ここにルバーブ農家が集中しているのです。

市場に出回るものは、フォースドルバーブといって、真っ暗な小屋のなかで温度調整を施し栽培したものが多数。
この方法を採用すると、光を求めてひょろひょろと軟弱に柔らかく、そして甘みを帯びて育つのです。

以前、この地域のルバーブ農家さんを取材したときに、捨てられていた苗をひとつ分けてもらいました。
100種類以上あると言われているルバーブの品種のなかでも、特に赤く甘みのある「ラズベリールバーブ」という品種です。

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アロットメントのルバーブ

とにかく英国人が家庭の味として大好きなルバーブ。
家庭菜園でも、半数以上の人が栽培しています。
フォースドルバーブを栽培するために、底のない大きな瓶のような専用の秘密兵器が園芸店で売られていて、これを株の上に載せて、光を当てずに育てる人もちらほらいます。

我が家の畑では冬の間に馬糞を載せるだけで、あとはほったらかしなので、春には力強く大きな葉っぱのルバーブが自己主張を始めます。
ルバーブ農家さんでいただいたラズベリールバーブも、2年目、3年目と年を追うごとにぐんぐんと成長を果たし、いまでは、前からあった赤みの弱い品種に勝るとも劣らない勢いです。

ルバーブの収穫期は長く、4月から8月までひたすら大きくなるため、ジャムに、タルトに、甘く煮てヨーグルトにかけたり、あの手この手を尽くします。

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ルバーブの食べ方あれこれ

英国人の間では、「ルバーブって果物でしょ」というくらい、「ルバーブ=甘いデザート」という認識が定着しています。
家庭料理としては一番の定番である、ルバーブシチューは、まとめて作って冷凍しておくと便利。
調理法は、ルバーブとその重量に対して30〜40%の砂糖を鍋に入れ、15分ほど火を入れるだけ。
水分が多いので、水は加えずに蓋をしてコトコトと。
トロトロの甘いシチューはヨーグルトに混ぜたり、パイやタルトの具として使ったり、用途が幅広いのです。

見た目を重視するなら、赤い茎を生かし、ハニーローストにしてカスタードパイに載せるのも美味です。

また、英国人には馴染みのない調理法ですが、塩と煮れば、練り梅もどきができあがります。
我が家では4〜6%の塩分に調整して火を通し、さらにハチミツを少し加えて、小瓶に入れて使っています。
鮭のグリルや、鶏もも肉のグリルなど、脂の強い魚や肉に合わせたり、「イワシの梅干し煮」のように、イワシの煮物に合わせるにもぴったりです。

日本では北海道と長野県で栽培されているようなので、もしも店頭で見かけることがあったら、ぜひぜひお試しください。

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