秋の七草

#ガーデニング #暮らし #遠藤昭

2020/08/23719 Views

writer:遠藤 昭
メルボルン駐在時、300坪の庭にてガーデニングに目覚め、多数のガーデニングコンテストを受賞。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。

ハスキーなおふくろ

猛暑が続きますが、暦の上では、既に秋。
いわゆる「秋の七草」は、旧暦での秋なので、実際は7月から9月の花ということになります。

暑すぎて秋といってもあまりイメージが湧いてきませんが、今回は暦にのっとり、今の時期に「秋の七草」について紹介したいと思います。

まずは、「秋の七草」の覚え方です。

”ハスキーなおふくろ”が判り易いですかね。
ハ=「萩(ハギ)」、ス=「薄(ススキ)」、キ=「桔梗(キキョウ)」、な=「撫子(ナデシコ)」、お=「女郎花(オミナエシ)」、ふ=「藤袴(フジバカマ)」、く=「葛(クズ)」、ロ=字余り!

もう一つの覚え方は、、
”おすきなふくは?(お好きな服は?)”です!
こちらの方が覚えやすいですか?

では”ハスキーなおふくろ”の順で、「萩」から紹介していきましょう。

「萩」

マメ科の植物で学名を「Lespedeza」、英名は「Bush clover」あるいは「Japanese clover」といいます。
東アジアが原産で、そのほか、北米やオーストラリアにも見られる植物です。

「萩」という漢字、”草冠に秋”を見て分かるように、まさに秋の草の象徴的な存在です。
古くから日本人に親しまれ、万葉集に多く登場するほか、花札のモチーフとして思い浮かべる人も多いように思います。

7月頃から咲き始めて、10月頃まで、多数の可愛らしい赤紫色の花を咲かせます。
成長力が強く、痩せた土地でも良く育つため、初心者でもチャレンジすることができそうですね。

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「尾花」

「秋の七草」の2つ目は「尾花」。別名「ススキ」です。
学名を「Miscanthus sinensis」、英名を「Japanese silver grass」といいます。

日本では昔から馴染みのある植物で、茅葺屋根の材料や家畜の餌、「萩」と一緒に十五夜の飾りとして、多くの場面で利用されてきました。
海外では、そのシャープなフォルムから人気がかなり高くなっているようですが、日本ではあまりに当たり前の風景のため、ほとんど雑草のような扱いですね。

ご存知のように、とても丈夫で育てやすい植物ですから、プランターで育て、四季を感じながら過ごすのも乙ですね。

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「桔梗」

3つ目は「桔梗」。
学名を「Platycodon grandiflorus」、英名を「Balloon flower」といい、東アジアに広く分布する植物です。

その美しい花は、古来から日本の人々に深く愛され、江戸時代には品種改良によりさまざまな種類のものが育てられるようになりました。
現在の園芸店では、矮小化処理したものしか見かけませんが、本来は70~80センチメートルまで成長する、見応えのある大きさだったようです。

こちらもとても丈夫な植物で、ほぼ放置に近い状態でも、きちんと毎年美しい花を咲かせてくれます。
もっと見直されても良い、日本古来の花ともいえるでしょう。

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「撫子」

4つ目は「撫子」。

一般的に、「西洋ナデシコ」の「ダイアンサス」をナデシコと思い込んでいる方が多いですが、「秋の七草」のナデシコは「カワラナデシコ(ヤマトナデシコ)」です。
学名を「Dianthus superbus var. longicalycinus」、英名を「Superb pink」といいます。

なんとも繊細で美しく、古くからその鑑賞価値を認めらた、日本古来の植物です。
特に江戸時代は品種改良も盛んにおこなわれていましたが、残念ながら派手な姿形が好まれる現代では、あまり見ることがなくなってしまったようです。

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「女郎花」

5つ目は、「オ」で「オミナエシ」。
学名を「Patrinia scabiosifolia」、英名を「Golden lace」といいます。

「女郎花」という字を見ると、なんだかあまり良いイメージを持てなくなってしまいますが、英名を見てわかるとおり、”やさしい感じがする美しい花”が由来となっているようです。
同属の白花を「オトコエシ(男郎花)」と呼びますが、「女郎花」に比較すると、がっしりと逞しい姿形です。

昔は日当たりの良い山野に自生していましたが、近年では数が減りつつあるようです。

繊細で美しい日本の花が、もう少し見直されると良いですね。

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「藤袴」

6つ目は「フジバカマ」。
学名を「Eupatorium japonicum」、英名を「Thoroughwort」といいます。

「歌に詠まれる藤袴」と言われることも多く、古くから数々の和歌の題材に詠まれた花です。
現代の花々と比較すると大変地味な花ですが、奈良時代頃の日本では、とても魅力的な花に映ったのでしょう。

藤袴も、河川改修などによる環境の変化で、現在は減少し続けてしまっているようです。

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「葛」

最後の1つは「クズ」。
学名を「Pueraria montana var. lob」、英名を「Kudzu」といいます。

根に含まれるデンプンを「葛粉」として利用し、「葛切り」や「葛餅」など、和菓子の材料として古代から親しまれてきた植物です。
根は「葛根」と呼び、漢方薬として、今でも多くの人に重宝されています。

つる性の多年草で、そのあまりの繁茂力で駆除されることが多いようですが、花は美しく、大変魅力的です。
むやみに植えてしまうと大変なことになりますので、注意が必要です。

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美しさを楽しむ七草

春の七草が七草粥にして無病息災を祈るものに対し、秋の七草はその美しさを鑑賞して楽しむもの。
すべてを揃えるのはハードルが高そうですが、まずは1つを家に連れて帰り、ベランダで「和」の繊細な美しさを愛でてみるのはいかがですか?

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