6月のアロットメント

#ガーデニング #ヨーロッパ #暮らし #パイプなこ

2022/06/29577 Views

writer:パイプなこ
ライター・編集者。編集プロダクションで仕事をしたのち、イギリスで生活。現在は日本に帰国し、NPO「みんなのことば」にて子どもの芸術支援を軸に、フリーランスで活動中。

イギリスの6月は、緑があふれ、天候も穏やか。
とても過ごしやすい時期です。

今回は、イギリス在住ライターの安田和代さんからのお便りを紹介します。

腹ぺこの空白期間

日本の菜園と同様、ロンドンのアロットメントでも、季節ごとにさまざまな違う野菜が収穫できます。

それでも、5月はちょうど谷間にあたり、これといって収穫できる野菜がないのです。
これを英語で「ハングリーギャップ」と呼んでいます。日本語に訳すなら「腹ぺこの空白期間」とでもいいましょうか。

昨年暮れから5月の頭まで日本で過ごした私は、すっかり今年の種まきの季節にも乗り遅れてしまいました。
いつもなら、初春に種まきする水菜やレタスが収穫できる頃なのですが、今年はそれもなし。

それどころか、本来なら冬の間にするべき後片付けもおわっておらず、いま必死に片付けと土作りと、種まきと育苗を同時に進めているところです。
まわりの畑に比べると、見た目はちょっと寂しい感じではありますが、のんびり焦らず、自分のペースで進めています。

唯一収穫できるのが、毎年期待を裏切らないアスパラガス。
スーパーでは絶対にお目にかかれないような、不格好なかたちのものにも、しっかり、とれたてならではの甘さがあります。

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そこかしこに溢れる「予感」

ということで、せっせと夏に向けて準備をしているところなのですが、それでも、やればやっただけの成果が目に見えるのが、畑仕事のすばらしいところです。

このひと月のあいだに種まきをした夏野菜の小さな芽が顔を出したり、ちくちくする若い葉っぱが大きくなっていったり、いただきもののトマトの苗に黄色い花がついたり、あちらこちらに、夏の予感が感じられるようになりました。

リンゴやいちじくの木にも、ぷっくりと小さな実がついて、これまたうれしい予感。
ラズベリーやブルーベリー、イチゴなどは、あとひと月もすれば、きっと、フルーツを買わなくてもいいくらい、毎日、食卓にのぼるようになるでしょう。

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敵か味方か、アロットメントに共存する生き物たち

6月は、日本ほどではありませんが、ロンドンも比較的雨の多い季節です。

それはすなわち、ナメクジやカタツムリとの戦いを意味します。
ビールと小麦粉を入れたナメクジトラップを仕掛ける、割り箸でつまんで酢や塩に入れる、スコップで真っぷたつ(!)にする、など、皆いろいろな方法をためしていますが、いちばんよいのは、やはり、天敵にがんばってもらうことです。

畑でナメクジの天敵といえば、カエル。
カエルに繁殖してもらうために、池を設置する人も多いのです。

池のない私の畑ですが、草むしりをしていると、ときどき、葉っぱの下に隠れているカエルに遭遇することがあります。
先日も、馬糞の山のなかに駆け込こんできたカエルが、必死に掴んだ塊ごと崩れてコロリとコケた決定的瞬間を目撃! 
そっとつかまえて、ナメクジの多そうなレモンバームの葉の下にはなしました。

ありがたくないのが、アロットメントに住んでいるらしいキツネの一家です。
昨年は、親のお尻にくっついて歩いていた子ギツネが、すっかり成長してソロ活動するようになり、追い払っても追い払っても戻ってきて、アスパラやトマトのあたりをウロウロしています。

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見た目はかわいいですが、イチゴを食べたり、豆やトウモロコシの種をほじくったり、コンポストを荒らしたりするのが、悩みの種です。
自分のおやつ用に持っていったビスケットを、キツネに盗まれないように傍らに置いて作業をしていたはずなのに、ふと横を見たら、パックごと口にくわえていて、「まてぇ」と追いかけたこともあります。

まるでサザエさんのワンシーンのような光景が、ロンドンのアロットメントで、実は繰り広げられているのです。

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